「TOEIC L&R 公式ボキャブラリーブック」感想レビュー

公式ボキャブラリーブック TOEIC

2019年6月25日に、TOEICの運営団体IIBC公式の「TOEIC用単語帳」である

「TOEIC L&R 公式ボキャブラリーブック」

が発売されたので、購入してみました。

TOEICってあれだけ教材数があるにもかかわらず、意外にも単語集やボキャブラリー集はあんまり多くありません。

大ヒットシリーズの「特急シリーズ」というのがありますが、あれは個人的には「TOEIC用トレーニング本」と思っているので、
単語帳というと定番の旺文社の「ターゲットシリーズ」やアルクの「キクタン」のTOEIC専用シリーズあたりが定番になるかなという感じですね。

そこへ、なんと公式が満を持して単語集を出すということで、私はかなり期待していました。

今回は、その中身と率直な感想を言ってみたいと思います。

どういった作りなのか

これが噂の公式による単語集「公式ボキャブラリーブック」です!

サイズ感

まず、この「TOEIC L&R 公式ボキャブラリーブック(以下、「公式ボキャブ」と呼ぶことにします。)」、サイズ感はどうなのかというと、こんな感じ。
公式ボキャブラリーブック サイズ
私の主食、ソルティライチ先生とともに

測ってみたらタテ18cm、ヨコ13cmという感じで、A5サイズよりちょっと小さ目くらいのコンパクトサイズ。

厚みもこんな感じなので

公式ボキャブラリーブック厚み

たいていのカバンには十分入る邪魔をしないサイズです。

まさに単語集という感じですね。

そして、肝心の中身についてですが、

過去のTOEICテストから厳選した1055の単語と、100の「セットフレーズ(英熟語)」

が掲載されています。

 

それで掲載方式はというと、なんと、品詞ごとに分けられていて、しかもアルファベット順という、何も考えていないかのようなシンプル仕様。

公式ボキャブラリーブック 内容

ちなみに赤いセロファンが付属しているので、日本語の部分は消すことができます。

公式ボキャブラリーブック 赤いセロファン

各品詞セクションのラストには、2語でできたイディオムが少し追加されています。

つまり、たとえば名詞だと「複合名詞」、動詞だと「句動詞」ですね。

その他の項目には「ハイフン付き形容詞」という、ちょっと無理やりなカテゴリーのイディオムが掲載されています。

ちなみに複合名詞ってなんだというと、


admission fee(入場料)

expense report (経費報告書)

といった、いかにもTOEIC的な単語がズラリ。

句動詞の方は


find out

look for

といった、かなり初歩的なイディオムが並んでいます。

そして、「ハイフン付き形容詞」という新機軸では、


best-selling(ベストセラーの)

fund-raising(資金集めの)

といった、これまたいかにもTOEIC的な語彙が、ほんの少し掲載されている感じです。

ラストの「セットフレーズ」では


according to ~ (~によれば)

a number of ~ (たくさんの~)

という、かなり初歩的なイディオムが載っていて、正直、大学受験の勉強をした経験がある人からすると、今さらこんなん載せられてもな~、という気持ちになりますね。

音声をダウンロードしてみる

そして、この公式ボキャブのウリは何と言っても


「音声ダウンロード」

まぁ、今となってはたいていの教材は音声ダウンロード付きは当たり前なのですが、公式なので、TOEICでおなじみのアイツ(オーストラリア人男性)やアイツ(早口イギリスおばさん)の声が収録されているのではないか、というのが期待するポイント。

ちなみにこの公式ボキャブの音声ダウンロードには「米国」「英国」両方の発音で収録されていて、これも1つのウリとなるポイントのようです。

では、早速準備してみましょう。

まず、本の5ページ目に「QRコード」が付いてるので、これを読み取ります。
すると、audiobookというアプリへの会員登録のページに飛ぶので、

オーディオブック 登録画面

これに氏名(仮名でもOK)、メアド、パスワードを入力。

会員登録が済むと、「シリアルコード入力欄」というのが出てきます。

ここに本の5ページのQRコードの下に掲載されている、5ケタのシリアルナンバーを入力。
そして「送信する」をポチッとな、です。

これであとはaudiobookのアプリをダウンロードすれば、音声ダウンロードを聴くことができるようになります。

audiobookを入れていない場合は、ここでアプリのダウンロードをし、もう1度先ほど入力した会員登録情報を入力しなければなりません。


正直、ちょっと面倒くさい。

 

さて、それで音声を聴いてみました。

音声は次のような順番でひたすら読み上げられます。


①単語のアメリカ発音(男性その1)

②単語のイギリス発音(男性その2)
③日本語訳(女性の機械的な音声)
④例文の朗読(ここはアメリカ発音の男性その1のみが1回朗読)

以下、これが1000以上続く(ひえー)。

しかも、なんと音声の読み上げはアメリカ発音とイギリス発音の男性、2人のみ!!

TOEIC受験生を悩ますオーストラリア人のアイツやイギリス発音の女性ナレーターなどは全く登場しません。

ただひたすらオッサンの声が代わる代わる続くだけ。

しかも2人とも声質が似てるんだよ!!

このナレーションをしている男性2人なんですが、両方とも試験に登場する方で、アメリカ発音の人はテストの概要を説明するときにナレーションをしている低い声の男性。

あの人は確かに聞き取りやすいですが、もうちょっとバリエーションを持たしてくれてもいいのに、と思いますよね。

率直にレビューすると‥

では、だいたいの感想を。
一言でいうと、

微妙。

ウ~ン。正直、絶対買わなきゃいけないというシロモノではないと思います。
以下、微妙だと思う点を少し。

微妙な点その1 情報量が少なすぎる

公式ボキャブラリーブック 掲載内容

単語集ですから、情報量が多すぎても見づらいというのはあると思います。

しかし、いくら何でもこの公式ボキャブ、単語とその意味2つ3つに、注釈も特になく例文が一文、ポーンと書かれているだけで、これはさすがに殺風景すぎるのではないかな、と思いますね。

単語集の定番、キクタンシリーズやターゲットシリーズ、大学受験から英語上級者まで使えるDUO3.0なんかと比べると、コンテンツ量が明らかにスッカスカ。

本当にTOEICの過去問から引っ張って来ただけ、という構成なので、これだったら公式問題集をやりこみながら、気になる単語をチェックしたり単語カードにメモったりした方がいいのではないかと思います。

あと、なぜか単語の掲載順序がただのアルファベット順になっているのも、今時もうちょっと工夫してもいいのではないかと思う点です。

TOEICはさまざまなビジネスシチュエーションごとに会話や問題文が作られているのだから、そういったシチュエーションごとにカテゴライズするとか、もう少し工夫してほしい。

収録単語のレベルも初級者から中級者(スコア600台程度)向けといった感じで、700台、800台以上の人にとっては物足りないことこの上なし。

収録単語数も簡単なものが多いうえに1000語前後なので、中上級者にとっては簡単すぎるでしょう。

複合語も本当にオマケ程度しか掲載されていないのも「イマイチだなぁ」、と感じる点です。

微妙な点その2 音声ダウンロード

それで肝心の音声ダウンロードですが、先ほども触れた通り、アメリカ英語のナレーターとイギリス英語のナレーターの声質がかなり似ているので、せっかくのアメリカ発音とイギリス発音の違いがわかりにくいです。

だいたい、アメリカ英語とイギリス英語で発音が明確に違う単語の方が少ないわけなので、ほとんどの単語は似たような声のオッサンが2回続けて単語をナレーションしているだけ、といった感じになっています。

正直、声はイケボなこともあって眠気を誘う(笑)。

せめてイギリス英語の人の声は高めにするとか、もう少し差別化してほしかったところではあります。
ナレーター終始2人だけ、というのもなぁ。これじゃあリスニングの練習にもならないし。

買った方がいい人・活用のポイント

公式ボキャブラリーブック

あくまで公式の補助として活用する

なんとなく酷評気味になってしまって、公式には申し訳ない気持ちもありますが、全くの役立たずかと言われると、そこまでヒドイわけではないです。

使い方として公式問題集の補助教材として使っていけばいいと思います。

私は公式問題集をむしゃぶりつくす、という勉強スタイルをとっているのですが、たとえば、公式問題集でちょっと意味を正確に取れなかった単語などがあれば、だいたい解説ページの単語注釈欄に気になる単語は載っています。

これをマーカーなどで印をしてチェックできるようにしているのですが、試験前にザっと気になる単語をチェックしたくても、公式問題集を何冊も持ち歩くわけにはいきません。

そういう場合に、自作の単語帳がわりとして、この公式ボキャブを併用するのはありかなと思います。

ここに公式問題集で引っかかった単語が乗っていないかを確認したうえで情報を集約しておけば、通勤通学やテスト前での復習に役立つと思いますよ。

TOEICらしいフレーズを感じられる

ここは公式ボキャブのいいところで、本物のTOEIC過去問から全単語、例文を引っ張ってきているので、読んでると、TOEICらしさというのはすごく感じられます。

これはTOEICの勉強を本格的に積んでいる人にはわかる「TOEICの匂い」みたいなもので、ここができの悪い対策本だと「TOEICらしさが感じられない」という違和感が残るのです。

ここら辺はTOEICテストを作っている当のETSが監修しているので当然といえば当然。

たしかに例文だけ飛ばし読んでいると、TOEICを受験するときに必要となる「TOEICのフレーズへの慣れ」が鍛えられる感覚はあります。

ただ、このTOEICへの慣れ、脳をTOEIC仕様にするための訓練といえば、なんといってもあのシリーズが思い浮かびますよね。


そう、特急シリーズです。

特急シリーズの中でも単語集として名高い「金のフレーズ」

特急シリーズは単語集というより、TOEICの会話文や文章を処理するための、いわば
「TOEIC脳」
を鍛えるためのテキストと私は考えていて、その目的でつくられた問題集としては他の追随を許さないです。

なので、正直、「金フレ」を持っているのなら、金フレで十分かと。

公式問題集を軸に学習するのがベスト

「TOEIC L&R 公式ボキャブラリーブック」、期待してたんですが、
ボリューム、レイアウト、音声、コンテンツの内容、どれをとっても物足りない。

全くTOEIC初学者や、私のようなTOEICマニア以外は「必携」というものではないです。と思い

それよりも早急に買うべきは、同時期にリリースされたコレ。

公式問題集の第5巻!今度は金色ですよ!!

そして6巻も無事発売!


これで新形式後の公式問題集も6巻そろったので、最初に出た「新形式問題対応編(個人的に私は0巻と呼んでいる)」や旧形式の既刊全6巻も合わせると、公式問題集だけでもかなりの分量になってきました。

やはり、まずはこの公式問題集を軸に勉強することが大事だと思うので、この公式ボキャブとかは後で必要かなと思ったら買ってみようかな、ぐらいでいいんじゃないでしょうか。

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