whatは言うまでもなく「何?」という意味の疑問詞ですが、実際の英文や英会話ではむしろ関係代名詞whatとして出てくる方が多いですよね。いざ訳してみようとすると意外と苦戦することがあるので、今回は関係代名詞whatをスムーズに訳すためのコツを紹介します。これを読めばたいていの関係代名詞whatは大丈夫です。
コツ1 what節の中で欠けた部分に注目する
関係代名詞として出てくるwhatが通常のwhichなどの関係代名詞と大きく違う点は、「先行詞がない」というところです。実際に先行詞が存在しないわけではなく、whatの中にすでに含まれている、という特徴があります。
関係代名詞what = the things which
これは学校の英文法でも習いますよね。
ただこれだけでは、実際に訳す時にピンとこないことが多いと思います。
そこで、訳し方のコツとして、
whatの作っている文節の中で、whatを除いた部分で足りてないものに注目する
という方法がおすすめです。
例文1
What he says is difficult for me. 「彼が言っていることは私にとって難しい」
ここで注目するのはwhat he saysの部分。
この節からwhatを除くとhe says となりますが、これだけだと文として気持ち悪いですよね。
sayは他動詞だから、目的語が必要です。
「彼は言う」じゃなくて「彼は○○と言う」でないと文章として不完全なわけですね。
ですから、what節の中の文は本来はこんな感じになるはず。
このように○○という目的語を置いておくと完全体になりますね。
この○○が関係代名詞whatに含まれている先行詞です。
そして、ここが訳すときのポイントですが、この○○の部分に「コト」とか「モノ」という言葉を当てはめると、だいたいうまくいってしまいます。この場合は
といった感じですね。
もう1ついってみましょう。
例文2
The team manager made him what they wanted him to be.
「チーム首脳陣は、彼らが望む通りに彼を育てた。」
今回もwhat they wanted him to beに注目してみます。
この部分からwhatを除外すると
となりますが、これだけだと文としてなんだか不完全です。
足りないところに○○を補充してみると
本来はこういう文ですね。
そして今回も○○に「コト」「モノ」という語を当てはめてみると
と訳せますね。このままでも文意的にはだいたいOKになっちゃいます。
こんな感じで、関係代名詞whatの場合は
- whatに続く節の中で文として欠けている部分を探す
- 欠けている部分に「コト」「モノ」を当てはめる
というのが、訳し方のコツになります。
“the things which”よりはイメージをつかみやすいので、慣れないうちはこの方法がおススメです。慣れてくると、いちいちここまで考えなくてもスッと訳せるようになりますよ。
コツ2 関係代名詞what節はでっかい名詞のカタマリ
whatの節の意味が分かったとして、そのwhat節も含めた1文を訳す作業になるとまた頭が混乱しがちです。
1文の中に「節」というもう1つの文章が組み込まれているので、英文がすごく長いこともあるからですね。
そこで、次に押さえておきたいポイントはコレ。
関係代名詞節whatは、whatに続く文節ひとカタマリで、文中の名詞1つの役割を担当します。長いように見えて、文法上の役割は “pen”とか “apple”みたいなもんですw
そもそも名詞というのは、文型で言うところの「主語(○○は~)」「補語(○○だ)」「目的語(○○を)」を担当しますね。関係代名詞節whatも「名詞」と同じなので、whatに続く文節ひとカタマリで主語や補語、目的語などを担当することができます。
それぞれの例文で確かめてみましょう。
主語の役割を担う場合
最初に簡単そうに見えることが難しいとわかることは、よくあることです。
この例文の関係代名詞what節はWhat seems easy at firstですから、これを「A」という名詞だと考えると、
「Aはしばしば難しいと判明する」(ド直訳)
という感じになりますね。
あとは「A」の中身であるwhat節を先ほど1つめのポイントにしたがって訳しておけば、文意をつかめます。
今回の例文のwhat節は、1文の主語を担当する「名詞」の役割をはたしている、ということ。要するにwhat節全体で「名詞1コ」と考えるとわかりやすいです。
補語の役割を担う場合
「礼儀作法は人間と動物を区別するものです。」
この分では、what節は文型で言う「補語」、S+V+CのCの役割を担う「名詞」となっています。
一見、複雑そうですが
「what節をデッカイ名詞のカタマリ1つ考える」
という方法に従って、what以下の部分を「A」と考えると、この例文は
という、実は簡単な構造だということがわかりますね。
ただ、今回はwhat節以下がちょっと難しいので、ポイント1に戻って、whatを除いた文を取り出してみると
これは明らかに「頭」がない変な文章ですよねw
ということはこの分の足りない部分は「主語」なので、本来は
といった感じになるはずです。
この○○に「モノ」「コト」などを当てはめればOK。すると
と訳することができて、これがwhat節の中身の文意になっています。
これを先ほどの
に当てはめると訳は完成。直訳で
良いマナーは人間を動物と違うようにする「モノ」です。
となって、これでも十分文意はつかめます。
目的語の役割を担う場合
「あなたが今言ったこと全て、私は理解できません」
何と哀しい例文でしょう(泣)
それはさておき、今回のwhat節は「目的語」の役割をしている「名詞」です。what以下のごちゃごちゃした部分を仮に「A」とすると、この文は
という感じで、ごく単純なS+V+Oの文と理解できますね。
こんな感じで、what節はひとかたまりで「名詞」なんだ、と理解しておくと、複雑で長そうな文章にもすんなり対応できるので、覚えておくといいですよ。
関係代名詞whatの訳し方のコツ まとめ
今回は関係代名詞whatの訳し方のポイントを2つピックアップしました。
もう1度おさらいしておくと、
What節の中で欠けている部分を「コト」「モノ」と訳せばOK
慣れてくると、いちいち考えなくても訳せるようになりますが、慣れないうちはこの2つのポイントを押さえておくと問題なく文意をつかめるようになります。