TOEIC新テスト撤退!!受験生がとるべき選択は?元予備校講師が考えてみた

TOEIC 新テスト撤退 英語学習

元予備校講師にして受験生時代はセンター試験大嫌いだった管理人(センターの配点ウェイトの低い京大OB)は、

「センター試験英語の廃止後、民間試験を採用」

という世紀の愚策に注目せざるを得ないのですが、
2019年7月2日に全国で報道された

「TOEIC 新テスト撤退」

の報道を見て

「やっぱりな」

という溜め息をついてしまいました。

これ、受験生たまったもんやないな、と思いますね。現場の受験生や予備校は大変です。

そこで、今回は少し7月2日の報道を振り返り、今後来年に向けて国公立大学を受験する受験生が英語をどういう風に勉強していけばいいのか、私なりに考えてみようと思います。

7月2日の報道を振り返ってみる

まずは「TOEIC新テスト撤退」の報道記事を簡単に振り返ってみましょう。
全国紙でも一面で報道されていたのですが、ここでは毎日新聞の7月2日夕刊一面にのった記事を一部引用してみます。

「TOEIC新テスト撤退」2019.7.2.毎日新聞
大学入試センター試験に代わって2020年度に始まる大学入試共通テスト英語の民間資格検定試験を巡り、文部科学省が認定した8試験の1つのTOEICが撤退する。TOEICを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が2日、明らかにした。共通テストの対象となる現在の高校生を中心に高校では新テストへの対策を始めているだけに受験生への影響は必至だ。
(中略)
文科省は全都道府県で複数回の実施など実施体制に関し、さまざまな条件を求めていた。TOEICを実施するIIBCは撤退理由について「受験申し込みから実施運営、結果提供に至る処理が当初の予定よりも複雑になることが判明した。責任を持って対応を進めることが困難であると判断した」としている。(以下略)

要するに、IIBCの言い分を剛直球150kmで翻訳すると

「なんでウチが、そんなことまでせなあきませんの?やめさせてもらいますわ」

ということになったわけですな。トホホ・・・・

まず新テストの8つってなんだったかというと以下の8つ。

・TOEIC
・ケンブリッジ英検
・英検
・GTEC
・IELTS
・TEAP
・TEAP CBT
・TOEFL iBT

このうち、受験生が年間100万人を超えている試験は英検とTOEICなので、この2つはとりあえず文科省の定める開催要件(全国都道府県で開催、年2回以上)を即満たしていると考えられていました。

じゃあ、IIBCはなんでやる気をなくしたかというと

「結果提供に至る処理」

これが引っかかったのだと考えられます。

というのも、この「結果処理」が文科省のアナウンスを聞いてもよくわからなさすぎるので、ここを公平に評価するのはどうするのか?というのが最大の疑問点だったのです。

で、ここは私の憶測ですが、文科省はこの「結果処理」もかなりの部分で民間試験に丸投げにしてきたのではないかと考えられます。もしそうだとすると、IIBC的には

「なんでそんなコストをウチが背負わないかんの?ウチは十分、やっていけてる試験ですし」

という、至極当然の経営判断をした、ということです。

ここが民間試験採用のコワいところ。

民間試験はボランティアでやっているわけではないので、コストが赤になるだけだと判断したら、アッサリ撤退してしまうに決まってます。

TOEICはもともと「ビジネスでの英語コミュニケーション」を測る検定試験なので、大学受験の英語には向いていない、と私は以前から主張してきました。ただ、費用や開催規模、試験対策という点では8つの中で最も受験しやすかった試験の1つ。対策講座や書籍の数も桁違いなので、試験対策という意味では取り組みやすかったはずです。しかも試験は1日、基本2時間で終了なので、受験生の負担も少なくて済む。

しかし、このTOEICが撤退するとなると、残る試験はどれもなかなかの強敵、難敵ぞろい。

受験生は英語1科目にかなりのリソースを割くはめになったと言わざるを得ません。

新テストの大まかな流れ

簡単に新テストはどういう手順で受験するのか説明すると、現状ではこのような感じです。

①2019年11月ごろ      受験生は大学入試センターにIDを申し込む
②2019年12月から2020年1月 大学入試センターがIDを発行
③2020年4月から2020年12月 この期間内にIDを使って民間試験を受験(2回まで)
④2021年1月          大学入学共通テスト

この民間試験での成績評価は、それぞれの試験ごとに「CEFR(セファール)」という国際評価基準に則って換算する、ということなのですが、これをどう公平に評価するのが今もってかなり不透明、というところに新テスト英語、最大の問題点があるわけです。

今回はここで多くの受験生にとって有力候補だった「TOEIC」が撤退してしまいました。

この「結果処理の公平性」を巡っては、当の国公立大学も問題視しているところが多く、全国82校ある国公立大のうち

・北海道大
・東北大
・京都工芸繊維大

は、公平性に問題があるとして活用しないことに決めている、とのこと。

ぶっちゃけ、国公立大は理系だろうが文系だろうが、本試験でガッツリした英語試験を出題するので、

「ややこしいから、ウチの本試験だけ準備しときなさい」

という大学は今後増えてくるかもしれないですね。むしろその方がマシだと思う。

そうは言っても、大多数の受験生は何とかせねばならんので、老婆心ながら

「どの試験がマシか」

元予備校講師にして現在、英語学習が趣味のおじさん的に、見解を少し述べてみます。

新テストで狙い目の試験は?

まずね、残った試験のうち、これはやめとけ、というのが結構あります。
それが以下の試験。

・TOEFL
・IELTS
・ケンブリッジ英検

この3つは受験体系が複雑、かつ難しいことで有名。

かなりの英語上級者が挑戦する試験ですし、専門の対策が必須です。

IELTSとかTOEFLとか、高得点狙いのためには英語専門校でガッツリ、専門レッスンを受けて受験しますからね。ちなみにIELTS(アイエルツ)は留学希望の人が留学先に英語力を証明するために受験する試験で、試験内容は結構ハードですよ。最高ランクの9.5以上となると、日本で数人しか取れないとか言われている検定試験です。

ということで、残る試験はというと

・英検
・GTEC
・TEAP
・TEAPcbt

この4つ。ここからこの新テスト英語でよく見かける「CBT」について少し説明しましょう。

新テストの切り札 CBT方式

なぜか文科省や新聞報道ではTEAPに関してだけ「TEAP」と「TEAP CBT」に分けて分類しているのですが、実は英検もGTECも「CBT」バージョンがあります。

それで、CBTというのは一体何かというと、正式には

Computer Based Testing

これの頭文字を取ってCBTです。要するに、コンピューターを使ったテスト方式にことで、スピーキングやリスニングのテストでは端末相手に応答したり、入力したりする試験方式のこと。

新テスト CBT方式

英検CBT公式サイトより引用 CBTの試験会場のイメージ


試験会場は個室ブースになっていて、1日で英語4技能(リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング)を端末を通して測定できるようになっています。この方式だと、たとえば、通常の英検の試験のように、面接試験が別日で、しかも面接官との対面方式になる、という手間はありません。

文科省は新テスト英語に関して、呪文のように「英語4技能を評価する必要がある!!!」と連呼しているのですが、現状4技能を評価する試験方式で、試験にかかるコストを最小限に抑えられるのはこの「CBT方式」しかないです。運営側にとっても受験生側にとってもCBT方式が一番やりやすいだろうと思いますね。

したがって、基本的に新テスト英語はこの「CBT方式」の試験に絞って受験した方が絶対いいです。試験が複数日にまたがるとか、面接方式があるとかは、正直かなり負担がデカくなるので避けた方が賢明だからです。

したがって、通常の「英検」と「TEAP」は面接試験がある、試験日が複数日にまたがる、という点で除外します。すると、残る民間試験の候補は

・英検CBT
・TEAP CBT
・GTEC CBT

となりますね。

ここで個人的な意見ですが、GTECは除外した方がいいかなと思います。

GTECはそもそも「ベネッセ」が運営するド民間試験。これって言ってしまえば、河合塾や駿台の模試を大学入試に採用しているようなモノなので、公平性とかは大丈夫なのか?という疑問があります。試験自体はよく出来た試験なのですがね。

さらに言えば、2019年の7月時点で唯一、実施回数の詳細がまだ決まっていないのが「GTEC CBT」。GTECが英検CBTやTEAPCBTに勝っているところは「開催会場は全国47都道府県」というところくらいなので、試験会場的な問題がなければあえて選ぶほどではないかと思います。

となると、最終候補

・英検CBT
・TEAP CBT

の2つ。
ここでキーポイントになるのは「英検CBT」です。

英検CBTとは何ぞや

英検CBT 公式

〈引用元〉英検CBT 公式サイト トップページ

英検は皆さんご存知のとおり、日本で最もメジャーな英語検定です。

基本的に等級別に分かれていて、一次試験がペーパー試験、これを突破すると2次試験の、面接方式のスピーキング試験へと進みます。

で、英検は今回の新テスト英語を意識したのか、数年前から「CBT方式」を導入し始めたんですよ。

英検CBT | 公益財団法人 日本英語検定協会
英検CBTのウェブサイトです。日本英語検定協会が運営する英検CBT(Computer Based Testing)は、コンピュータ上で受験する英検です。合格すると従来の英検と同じ資格が得られます。

実は、2級、準2級、3級に関してはCBT方式で受験することが可能になりました。そして、このCBT方式自体もいくつかパターンが分かれているのですが、新テスト英語受験生にとって重要なのは

「英検2020 1day S-CBT」

という方式です。これはズバリ、新テスト英語受験生向けに作られた英検版CBT方式テスト。

内容は通常の英検と変わらないうえに、会場を英検CBTの15都道府県から全国47都道府県に拡大、しかも常時受験できる体制をとるとアナウンスしています。〈参考 2019年5月14日 2020年度英検新方式 実施会場における決定事項のお知らせ〉

「常時受験できます」というのは、今回の新テスト英語ではとんでもないメリットと言えますし、なんといっても中身は「英検」なので、対策が取りやすい。

主なターゲットは英検2級になると思いますが、これだと大学受験の2次試験とも相性のいい内容になるので、国公立の受験対策と併用できるのもイイですね。

ただ、英検のネックは等級が分かれていること。

英検はそもそも、級別に分かれているものなので、共通評価には不向きなんですよ。2級の40点と準2級の60点は同じなの?という問題もある。

ちなみにCBT方式でなければ準1級や1級も受験できるので、英語ガチ勢は準1級とかを受験する人もいるかもしれない(旧帝大系の受験生ならやりかねん)。そうすると、さらに点数の評価や調整はややこしくなるわけです。

私の個人的な意見としては、思い切って2級を新テスト対象テストに指定してしまった方がいいと思いますね。

もし英検2級(準2級も対象にしていいと思う。2階級なら点数調整も楽なはず)の英検S-CBTを新テストの対象にする、とアナウンスされた場合、正直、新テスト英語の候補はコレ1択といってもいいほどです。

TEAPってなんだ?

残るはTEAPです。聞きなれない試験ですね~。
ただ、このTEAP、実は運営元が英検と同じ「公益財団法人 日本英語検定協会」なんです。

TEAP CBT | 公益財団法人 日本英語検定協会
TEAP CBTのウェブサイトです。日本英語検定協会が運営する4技能型アカデミック英語能力判定試験 TEAP CBT(Computer Based Testing)は、TEAPのコンセプトを継承しつつ、さらに、グローバルに活動をするために必要とされる実践的な英語運用能力を複合的に測定できるテストです。ここではテストの特...

旧センター試験と同程度の試験難易度で、英検にすると準2級から準1級レベル。それやったら「英検」でいいやん、というツッコミはなしだ(笑)。

まぁ、英検よりも世界標準での評価(CEFR:セファール)によって評価される方式を取っているのがTEAPといえそうで、すごく雑にいえば英検2級レベルの国際版。

試験方式はCBTです。

試験問題の内容は、もともと高校3年生を対象に作られているので、全体的に大学受験との親和性が高く、難易度もちょうどいい感じ。サンプル問題をチェックしてみましたが、国公立大の本試験の対策と並行して準備できる内容になっていると思います。なおさら、「英検」でいいやん、とツッコんでしまいたくはなりますが。

ただ、英検と違うのは試験時間。
たとえば英検2級(CBT方式)と比較とすると

・リーディングとライティング
英検2級 85分
TEAP  130分(リーディング80分、ライティング50分)

・リスニング
英検2級 25分
TEAP  40分

・スピーキング
英検2級 15分
TEAP  30分

こんな感じになっており、正直TEAPはかなりしんどい。とくにライティング50分とかはしんどいね。

しかも会場が2019年時点では13都道府県というのも気になります。さらに言えば、こおTEAPは試験開発に上智大学が関わっていたりするので、そこもちょっとひっかかるところ。利益相反の問題とかもありそうです。私学ならあまり問題にならないかもしれないですが、国公立大学は微妙なところですからね。

試験としてはよく出来ているし、最初からこの新テスト英語での統一基準とされている「セファール」の評価を採用している、しかも半官半民の日本英語検定協会の運営、ということで、いろいろとポイントは高いのですが、いかんせん試験が本格派過ぎて大変なのと、開催規模が小さいというところがネックになっていると思います。

ズバリ、どうする新テスト英語?

ということで、「新テスト英語、TOEIC撤退」というニュースから、私なりにいろいろ考察してきましたが、
もし私が現役で予備校講師をしていたとしたら、生徒にこう指示を出します。

「英検2級(英検S-CBT)の準備をしよう」

その理由をあげるとこんな感じです。

・民間テストの中ではテスト時間が短い方
・英検なので対策教材や講座の数が豊富
・安心と安定の日本英語検定協会の運営(撤退の可能性は低い)
・センター試験の英語とあまり難易度が変わらない
・常時受験できるようになる可能性が高く、スケジュールを組みやすい
・しかも試験会場は47都道府県、計260会場に拡大

英検2級の対策をしておけばいいのですが、この対策がかなり英語学習において汎用性があるのもおすすめポイント。英検はいい意味でクセのない、バランスの取れた試験なので、英検の対策が他の民間試験や国公立の2次にもそのまま生きてきます。

ついでに英検2級をとれば、それも立派な肩書になるのもオイシイ。世間的には「英検」と「TOEIC」が認知度的にダントツなので、取っておくと将来的に履歴書に書きやすいです。欲を言えば就活アピールにつなげるなら準1級がいいんですが。

というわけで、英検2級の対策、これを軸に、志望校の試験科目や傾向とのバランスを考えて準備しておくというのがベストではないかと考えます。

まだ2019年7月の段階で、文科省は全国7カ所で高校教員向けの説明会やシンポジウムを開いているという状況なので(試験はもう来年だぞ。大丈夫か)、今後のニュースには気をつけておいた方がいいでしょう。試験に関する重大な変更もまだまだありそうです。

 

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