英語の資格と言えば2台巨頭ともいえるのがTOEICと英検です。
どちらもネームバリューがあり、実績もあるので資格としての信頼性は高いものがあります。
ちなみに管理人は大学時代(かれこれ10年ほど前)の英語力全盛期に英検2級を取得しています。
準1級の一次試験も突破したのですが、2次の面接試験の準備ができなくてまだ準1級は取れていません(悲)。
初めて英検を受けたのはなんと小学生4年生の時で、その時に初めて英検3級を取りました。
あまりに昔の話なんで(もう25年くらい前)、その当時のことはあまり覚えていないのですが、その10年後に受験したときも「昔の英検の感じと雰囲気はあまり変わらないなぁ」という印象でした。
基本的に出題形式や内容のクセが何十年間もあまり変わっていない気がしますね。もちろん、より洗練されている感はありますが。まぁ、例えて言えば創業何百年で未だに行列の絶えないヒッ老舗のお菓子屋さん、みたいなものですよ。英語力の証明としては半世紀近くも安定した実績のある検定試験といえます。
ただ、近年では英語力を証明する資格としてはすっかりTOEICに覇権を奪われている印象。
その理由はなんといっても「試験にかかる労力」と「受験のしやすさ」によるものだと思います。試験としては個人的には英検の方が断然優れているとは思うのですがね。
事実、英語の専門家やプロ講師、上級者のあいだでは、依然として英検の試験としての評価は高いので、本当なら英検こそもっと流行ってほしいという気持ちはあります。
では今回は、英検ってどんな試験なのか、TOEICとの違いも含めて初心者にもわかりやすく解説しましょう。
英検の基本情報
英検の正式名称は「実用英語技能検定」、これを略して「英検」といいます。
階級ごとに試験が分かれていて、すべての級数は7つ。
それぞれのレベルの目安は次のような感じ
・1級 大学上級 準ネイティブレベル TOEIC845以上
・準1級 大学中級 日常会話レベル TOEIC700以上
・2級 高校卒業 最低限の日常会話レベル TOEIC600~700
・準2級 高校初級レベル
・3級 中学卒業レベル
・4級 中学中級レベル
・5級 中学初級レベル
どこから受けてもOKですし、3級を合格していないと2級は受けられないとかもありません。
実は試験の時間帯が級ごとにずれているので、いわゆる「ダブル受験」(隣接する2つ以上の級を同じ日に受ける)ということも可能です。ただ、そんな人、あんまり見たことありませんが(笑)。
TOEICのスコアはあくまで参考程度にみてほしいのですが、いろいろなテキストの目安や自分の体感などを含めるとこんな感じかなと。準2級以下はTOEICと比較してもあまり意味がないのでスコア帯を書いていません。なぜかというと準2級以下のレベルだと、単純にTOEICに必要な英語知識がまだ未学習ということになるからです。
さすがに高校英語まではしっかりやらないとTOEICの内容自体についていけないと思うので、あんまり比較する意味はないかなと考えました。
それで重要なのは試験日程。ここがTOEICと違って、年に3回ってところがポイント。
第一回 第二回 第三回
一次試験 6月上旬 10月中旬 1月末
二次試験 7月上旬 11月中旬 2月末
だいたいのスケジュールは上のような感じなんですが、団体受験だと若干前後することもあります。注意するポイントとしては、申込期間が結構短めという点で、しかも回によってその期間の長さが不規則だったりします。
だいたい1カ月くらいしか申込期間がないことが多いので、申し込みのタイミングをミスらないことが結構大切です。なんせ、年間3回しかありませんからね。
英検の筆記試験の内容
話を戻して、英検の試験内容は基本的に
1次試験(筆記試験とリスニング)
2次試験(面接試験、英検3級から)
の2段構えで行われます。筆記試験は文法問題、文章読解問題に英作文などもあるので、より総合的な英語力が試されるというわけ。
毎回、英検側は公式な発表はないものの2次試験に進む受験生の数をだいたい決めていて、そのラインで1次試験の足切りがあります。だいたい筆記試験で、満点の70%前後獲ればほぼ確実に2次試験に進めるという印象です。ただ、試験回によっては若干ばらつきがあります。とりあえずは模擬試験や過去問などで、筆記試験は70点は獲る、というのを目安にすればいいでしょう。
筆記試験の内容は、各レベルに合わせた基本的な文法問題が出ます。英語長文はビジネス英語から小説、随筆まで幅広くて、大学受験で勉強する英語にすごく近いです。
そして、かなりガッツリ英作文が出ます。英検2級以上になるとめちゃめちゃ本格派の問題なので、ここでの満点狙いとかは激ムズ。ヘタクソな英文でもいいから致命的な文法ミスをしないことや、なんとか文意が伝わるようにすることが、対策のポイントです。私の体感では、センター試験英語と同じくらいなのが英検2級、国公立大や難関私立大の問題と同レベルかちょっと難しいくらいのレベルなのが英検準1級、という感じ。

引用元 2012年第1回英検準1級問題より
ちなみに英検1級は先ほど「大学上級」と書きましたが、これは公式の発表している目安ってだけで、実際には英検の中では飛びぬけて難しいです。英単語の語彙数だけとってみても、難関国立大の英語レベルをはるかに凌駕しています。なので、本格的に英語の達人を目指す、英語を使ったビジネスをやりたい、とかいうレベルでもなければ1級までやらんでもいいんじゃね?と個人的には思いますね。
ただ、英検準1級はできれば獲りたいです。資格として通用し始めるのは準1級くらいからということもありますし、準1級なら大学受験を経験した人なら、そう高いハードルではないと思います。
面接試験てどんな感じなの
面接試験ってどういうものなのかというと、だいたいの流れはこんな感じ。まず面接室には受験生が1人ずつ入ります。すると部屋には面接委員が二人いて、まずは面接委員が名前と級を確認して英語で軽くごあいさつ。それが終わると「問題カード」という4コマのイラスト付き課題を渡されます。
この問題カードには
こんな感じの4コマイラストが描いてあるので、まずはこれを1分間黙読。1分経つと面接委員から指示があるので、ここから試験本番です。
まず何をするかというと、4コマのイラストの内容をナレーションして(2分間)説明します。
当たり前ですけど英語で、ですよ(笑)。
それが終わると面接委員から英語で4つ質問があって、これに英語で答える、という流れです。
時間にすると1人10分もない時間なんで、2次試験は待ちの時間の方が長いですね。場合によってはかなり待ちます、2次試験は。
この面接試験は試験内容とは別に、本番で結構緊張してしまう、というのが大問題。本番で力が出せるようにするための準備もかなり大切になってくるんです。なので、普段から英語をバンバン使う現場にいる人以外は、完全独学でやるのは非効率的かなと思います。
かなり前のこととはいえ、私は小学生の時の3級、大学生の時の2級のとき、ともに英会話スクールで模擬面接の対策講座を受けました。もちろんイラストを説明できるようにする訓練も大事なのですが、それを本番の流れで緊張せずにこなすシミュレーションも同じくらい大事になるんですよ。この面接対策だけでも英会話スクールの短期講座なんかを利用する方が確実ですね。
ぶっちゃけTOEICと英検、どっちがおススメ?
受験のしやすさはTOEICに軍配
で、本日の本題なんですが、ぶっちゃけTOEICと英検どちらがおススメか?という問題に私なりにお答えしましょう。
英語を極めたい、英語で生きていきたい人 ⇒ 英検
とりあえず就職、転職などでハクをつけたい人 ⇒ TOEIC
英検とTOEICはそれぞれ一長一短ありますが、とりあえず受験のしやすさという点では断然TOEICです。英検は筆記問題で問われる範囲が広く、英作文もガッツリあるのでライティングの勉強も必要になります。しかも面接試験はスピーキングの訓練と専門の試験対策も必要なので、やらなくてはいけないことはかなり多いといえるでしょう。
その点、TOEICはメジャーなL&Rテストだけならば、基本的にリスニングとリーディング対策だけで済むので、楽といえば楽。
そもそもTOEICはビジネスマン向けに開発された英語検定なので、試験内容はビジネス英語中心なんです。文章問題をみてみると商品の宣伝や、注文手続き、求職案内や社内向けのメールなど、ビジネスシーンに特化したシチュエーションでの文章が主になっていて、ある意味出題される文章内容のパターンはだいたい同じです。
TOEICでは小説や随筆などの文章は出ないというのは、実は試験対策としてはめちゃめちゃ楽なところです。英語長文でも随筆とか小説になると、はるかに難易度が上がりますから。ビジネス英語の文章は内容を明確に伝えるための文章なので、読む方にも理解しやすいわけです。
TOEICは英語の勉強を続けるモチベーションになりやすい
そしてなんといっても、TOEICは試験回数が多い(多すぎる)というのも、受験のしやすさとしては見逃せないポイントです。
英検は年3回であるのに対し、TOEICはなんと年に10回。2月と8月以外、ほぼ毎月のように開催されています。なので、コツコツ2カ月おきに受験する、とかでも、自分のスコアの経過を確認できるので、英語力を継続的に強化していきたい人にとっては、TOEICのスコア状況はモチベーション維持にも効果があります。
英語は瞬間風速的に実力のピークを持ってきて一点突破、あとは野となれ山となれというような資格試験や大学受験の勉強とはちがい、コツコツチマチマ継続してトレーニングしてなんぼ、というものです。そういう意味でもTOEICは英語学習者向きの試験と言えるかのしれません。
英検のように級のレベルによって問題の難易度が変わる、ということもないので、どのレベルの人であっても、同じ教材や対策方法で、コツコツ自分のペースで受験し続けることができるのも勉強に取り組みやすい点です。
ただ、だからといってTOEICが英語の試験としては英検より優れているのかというと、そうとは言い切れない部分もあるわけなんですよ。
総合的な能力検定としては英検に軍配!
TOEICは通常多くの人が受験するListning&Reading testではその名の通り、リスニングとリーディングだけしか問題が出ませんよね。
この点、英検は1次試験と2次試験の2段階方式になっていて、1次試験では文法問題、読解問題、そして英作文問題も出題されます。
さらに1次試験を突破すると、2次試験は面接試験といって、面接委員2人と課題となるイラストのシチュエーションについて自分で英語で説明するスピーキングの試験があります。
ということで英検は英語力の基本となる4つの要素
リーディング
リスニング
ライティング
スピーキング
の全てをカバーしている試験なので、英語の総合力を判定するという点では、断然英検に軍配が上がるというわけです。
英検、TOEICともに試験としての世間の認知度は同じくらい高いので、どちらも就職や転職などのアピールでは十分通用します。ただ、英語力の高い人材が欲しいと考えている企業は「英検準1級」とか「英検1級」という肩書のある人を欲しがることもあるでしょう。
というのも、英検に合格しているということは英会話能力もある程度高い、ということの証明になるので、この点がTOEICの高スコアよりも信頼度の高くなる点だと思います。
結局どっちがいいの?
結局どっちがおすすめかという点は先ほど述べた通り、
英語を極めたい、英語で生きていきたい人 ⇒ 英検
とりあえず就職、転職などでハクをつけたい人 ⇒ TOEIC
といった感じですが、せっかくここまで読んでくださった「英語の達人」を目指す、私と志を同じくする(?)皆さんに向けては、
どちらも受験しよう
というメッセージを送りたいと思います。どちらの試験も資格としての信頼性は高いので、TOEICの高スコアや英検準1級、英検1級などを取得しておくといろんな意味でメリットは大きいと思いますね。両方の資格の勉強を通じて英語力はじわじわ上がっていくでしょうし。
ただ、めちゃくちゃしんどいですけど(爆)